大量の作品を扱うメディアやプラットフォームにおいて、分類の設計は利用者の体験を大きく左右する。よく使われる整理の枠組みには「ジャンル」「タグ」「カテゴリ」があり、似ているようで役割が異なる。
カテゴリは、作品を重複なく大きなグループに振り分けるための骨格になる分類だ。一方でジャンルは、作風や内容の傾向を表すラベルであり、1つの作品が複数のジャンルに属することも珍しくない。タグはさらに粒度が細かく、シチュエーションやキーワードといった、検索・絞り込みに使われる補助的な情報として機能することが多い。
この3つを混同すると、分類はすぐに破綻する。よくあるのが、本来タグで扱うべき細かい要素をカテゴリとして扱ってしまい、カテゴリの数が際限なく増えていくパターンだ。カテゴリが数十、数百と増えたサイトは、一覧を見ても全体像が掴めず、結局は検索窓に頼るしかなくなる。
良い分類システムに共通する条件として、まず「利用者が実際に探す言葉と、分類の言葉が一致していること」が挙げられる。運営側の都合で作られた分類は、どれだけ整理されていても利用者にとっては探しにくいものになりがちだ。
次に「粒度が揃っていること」も重要になる。極端に広いジャンルと極端に狭いジャンルが同じ階層に混在すると、絞り込みの精度が不安定になる。数千件が該当するジャンルと、数件しか該当しないジャンルが横並びになっていると、利用者はどちらを選ぶべきか判断できない。
三つ目の条件は「1件しか該当しない分類を作らないこと」だ。絞り込みの選択肢として提示された以上、利用者はある程度の件数を期待する。開いてみたら1件だけ、という体験が続くと、分類そのものへの信頼が失われる。件数が一定に満たない分類は、統合するか、そもそも表に出さないという判断も必要になる。
タグについては、増えすぎることが最大の問題になりやすい。表記ゆれのあるタグが乱立すると、同じ意味の絞り込みが複数存在することになり、どれを選んでも結果が中途半端になる。運用のどこかで、表記を統一する作業を組み込んでおく必要がある。
分類は一度作って終わりではなく、扱う作品数の増加や利用者の検索傾向の変化に合わせて見直しが必要になる継続的な設計作業だ。分類そのものは地味な作業に見えるが、探しやすさという利用者体験の土台を作っているという意味では、コンテンツそのものと同じくらい重要な要素だと言える。