多くのメディアやECサイトには「ランキング」「新着」「注目」といった一覧機能が用意されている。便利な機能である一方、その並び順がどのような基準で決まっているのかは、利用者からは見えにくいことが多い。
ランキングは大きく分けて、実際の行動データに基づくもの(閲覧数・クリック数・購入数など)と、運営側の編集判断に基づくものの2種類がある。前者は「一定期間内にどれだけの反応があったか」という定量的な指標であり、後者は「今このタイミングで紹介したい」という主観を含む。どちらが優れているというものではなく、目的が異なる。
行動データに基づくランキングを扱う際に重要になるのが、集計期間と対象範囲の明示だ。「直近7日間のクリック数」なのか「累計の購入数」なのかによって、同じ「ランキング」という言葉でも意味する内容はまったく異なる。この前提が曖昧なまま提示されたランキングは、利用者に誤解を与えかねない。
集計期間の取り方ひとつで順位は大きく変わる。累計を基準にすれば古い作品ほど有利になり、直近数日を基準にすれば新作ばかりが上位に来る。どちらが正しいということではなく、「何を知りたい人のためのランキングか」によって適切な期間が決まる、と考えるのが自然だろう。
注意したいのは、「人気」という言葉の曖昧さだ。閲覧数が多いことと、購入数が多いことと、満足度が高いことは、それぞれ別の現象である。閲覧数だけが突出している作品は、話題になっているだけで実際の評価は分からない。ひとまとめに「人気」と表現してしまうと、この違いが消えてしまう。
新着一覧についても同様で、「サイトへの登録日」なのか「実際の発売日」なのかが曖昧なまま並べられていると、情報としての信頼性が下がってしまう。データの取り込みタイミングによっては、発売から時間が経った作品が「新着」として上位に並ぶこともあり得る。
自分でランキングを作る立場になった場合、押さえておきたい原則は二つある。一つは、根拠のない数値や順位を提示しないこと。もう一つは、算出方法と対象期間をページ上に明示することだ。後から検証できる形になっているかどうかが、その情報の信頼性を決める。
良い設計のメディアほど、こうした算出方法や基準日をさりげなく明示している。地味な部分だが、利用者がその情報をどこまで信頼してよいかを判断する材料になる。逆に、基準がどこにも書かれていないランキングは、参考程度に見ておくのが賢明だろう。